2007年 10月 17日
さうすばうんど |
さてお話は、小学6年の男の子、二郎の周りで起こる、様々な出来事を、その子の目線で描かれているのですが、南の島、八重山に伝わる英雄の伝説がモチーフとなっており、その英雄がまさに破天荒なお父さんと重なります。普通じゃない生き方をしている父。世の中の義務や決まりが大嫌いな父。自由とは何か、社会とは何か、政治とは何か...日々、流されるように暮らしている私達に、自分の生き方や、社会のあり方を、今一度立ち止まって考えるきっかけを与えてくれるようです。また、都会の生活と田舎の生活が対比されるように描かれていて、人々が便利な暮らしや富への欲望ばかりを膨らませ、自分さえよければという勝手な生き方を加速させているのでは?と改めて、不安や疑問を感じました。しかし、世の中の流れに逆行するのは、難しいですよね。でも、もしも何かしら疑問があれば、ささやかにでも「自分はこう思う」という自分なりの考えを持って、抵抗することはとても大事なことだなあと思いました。
最後に、このお話の中には、色々な境遇の子供達が出てきます。いいとこのお嬢様から母子家庭の子、不良、帰国子女、登校拒否児などなど...子供達には、家庭環境を選ぶことはできませんよね。でも、どの子にもすばらしい未来があってほしいものです。物語ですから、かなり波乱万丈、ちょっぴり過激な部分もありますが、とても変わった境遇であるはずの主人公二郎が、あまりにも普通の男の子でほっとするのと、時折絶妙なタイミングで登場する突拍子もない描写に、感心するやら笑えるやら。最後まで読み終えたときには何とも不思議なすがすがしさを感じました。さあ~読書の秋です。皆さんも気になる一冊を手にして、秋の夜長を静かに読書なんていかがですか?
by usakochan37
| 2007-10-17 20:01
| 本